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バイオトイレがモーリーに掲載されました!(2007年12月)

北海道新聞野生生物基金の北海道ネーチャーマガジン「モーリー」にバイオトイレの記事が掲載されました。

 

「旭山動物園のトイレ問題を解決」

 旭山動物園という日本ナンバーワンの動物園が北海道旭川市にある。なんと、数年前に入園者数が東京の上野動物園を超えた。しかも、驚くことに、訪園者日本一の旭山動物園には水洗トイレが無い! 理由は、旭川市郊外にある小高い山に旭山動物園があるために「下水道が整備されていない」からである。旭山動物園は下水道処理区域外で大イベント(年間の入園者数300万人以上)を長期的に行っていることになる。

 旭山動物園の人気が上昇し、人数が集まるようになると「すぐ困った」のは「駐車場とトイレ」であった。動物園に続く道路は大渋滞となり、動物園の駐車場やトイレにも長い列が日常化し、入園希望者や近隣住民からも多くの苦情が出た。旭山動物園として駐車場とトイレ問題を解決できなければ入場制限をしなければならない。官民挙げて真っ先に取り組んだのは駐車場の確保である。動物園の周辺は大規模な工事が実施され、無料駐車場や有料の民営駐車場が完備された。

 一方、園内に複数個所ある汲み取り式トイレの臭気対策は、まず正門前にある汲み取り式トイレを、下水道を必要としないバイオトイレ「Bio-Lux」に改修した。加えて、仮設用バイオトイレを複数台設置し、合計33台のバイオトイレを備えたことでトイレ問題を理想的に解決することができた。

 バイオトイレとは、オガ屑をマトリックスに利用した「乾式し尿処理装置(ドライトイレ)」のことである。結果的に入園者数が300万人を超えた現在(平成19年9月)まで、水洗便所は設置されていない。バイオトイレの使用により、「入園者のし尿は、一切旭川の水を汚していない」という事実に日本中の注目が集まっていた。しかしながら、旭川市は本年、旭山動物園地域を水洗化地域に指定した。現在、下水道工事が進行中で、今年の秋には水洗便所が設置されることになっている。

 今回の旭川市による旭山動物園地域の水洗化地域指定に対して、有識者は決定に反対、一方、水洗便所を使い慣れている人たちは賛成、と意見が分かれた。結果的には水洗地域指定の決定がなされた。人口36万人の街に300万人以上の観光客が訪れ、動物園を訪問している事実。入園者が使用するトイレを水洗トイレにするか、ドライトイレにするかの問題に対して賛否両論があり、全国的な注目を集めている。

 

「水洗トイレは文明のバロメーターか?」

 文明のバロメーターといわれている水洗トイレは快適である。使用後にし尿がパッと目の前から消えるのがいい。しかし、「流された"自分のし尿"は、どこで、どう処理されるのであろうか?」と考える人は少ない。水洗トイレ方式とは、どんぶり茶碗で約1杯分のし尿をバケツ3杯くらいの上水道水で薄め、下水道管を利用して遠くまで輸送し、大規模の下水処理場で処理する方式である。

 トイレの水洗化は戦後の日本の国策でもあった。水洗トイレのインフラコストもランニングコストも整備費用は公共事業費となっており、多額の費用が必要である。上下水道の維持管理コストの大半は水管路の交換作業であり、水管路の計画的交換や緊急的交換は年中行事となっている。人口36万人の旭川市の上下水道維持管理費用は平成18年度予算で約270億円が計上され、水洗トイレを維持するためのランニングコストとして使用されている。さらに百万人単位のし尿を水洗化により処理するとなるとコストはいかように膨れ上がるのか?

 

「バイオトイレBio-Luxの新発想」

 Bio-Luxのし尿を処理する原理は、「オガ屑中に投入されたし尿中の水分を蒸発させ、残った固形物を微生物により分解させる」である。分解残渣は、微量の無機成分(窒素、リン酸、カリウム)とフミン質である。無機成分は栄養塩とも呼ばれ、し尿に含まれていた肥料分である。これらはオガ屑の空隙中に少しずつ残り、やがて目詰まりを起こす。この目詰まりにより、オガ屑から水分の蒸発がしづらくなり、その時がオガ屑の交換時期(目安は1年に2〜3回程度)となる。

 Bio-Luxは「乾式し尿処理装置」である。水を使わない、汲み取り不要、トイレ室内は無臭、し尿含有成分は肥料に資源化される。特別な菌は使わない、普通のオガ屑を活用しているなど、数々の特長を有している。平成7年から取り組んだバイオトイレ事業はすでに12年を経過し、現在までの生産台数は1600台以上となっている。「環境にやさしいトイレ」として国内外ともに評価が高く、多くの受賞歴(18件)にも注目が集まっている。海外からのバイオトイレ見学者はすでに20ヵ国以上、バイオトイレの輸出は7ヵ国に達している。ロシアのサハリン2の作業現場では仮設トイレとして30台が使われ、ハワイのホテル、マーシャル諸島の観光地のトイレとしても設置されている。研究用として中国の東北師範大など3大学のほか、インドネシア、フィリピンにも輸出された。日本でも災害時の断水に対応できる新しいトイレとして期待が高まってきている。

 しかしながら、日本には、便所に対する法律(建築基準法第31条第1項、下水道法第2条第8号)があり、下水道の敷設地域では「水洗便所以外の便所」は認められていない。ゆえに、現在、国に対し5回目の規制緩和を求め、第11次構造改革特区提案に参画しているが、まだ色よい返事が無い。しかし、バイオトイレBio-Luxの応援団は確実に増えてきており、近い将来に規制緩和が実現されることに期待したい。

 

「終わりに」

 し尿を処理する方法は世界共通で、「水で薄めて流す」水洗トイレ方式である。水洗トイレは、人類のサニタリー文化として普及した。しかしながら、今後、水洗トイレを世界中に普及拡大させることは、もはや不可能である。理由は「水も無い、お金も無い」からである。ゆえに、人類は水洗トイレ万能主義を改め、新たな「し尿処理方法」を検討する必要がある。特に水問題は深刻で、「水不足や水質汚染」が世界共通の課題になっている。今後、地球上に存在する水の0.01%しか利用できない、他の水は、そのままでは利用できない塩水であるとされている。われわれ人類は0.01%しかない大切な水を、し尿で汚し、飲めない水にしているのである。持続可能な生活環境を守るため、「安全な食料ときれいな水を確保する手段」として、Bio-Luxの考え方を、「人類のし尿や家畜のふん尿処理」に生かす必要があり、今後は、水洗トイレは必要最小限に抑えることが望ましい。

 

=モーリー(17号)より抜粋=